不動産投資を考える際、家賃相場の動きに目を向けることも欠かせないかと思います。家賃相場の変動には景気や建築コストといった要素だけでなく、人口動態の影響も大きいと言われています。ここでは、人口動態と家賃相場のつながりについて整理してみます。
人口動態とは何か
人口動態とは、ある地域での人口の増減や、年齢別構成、世帯数の変化を指します。たとえば東京都の人口が年々増えていることや、地方都市では高齢化と人口減少が進んでいることも、人口動態の一例です。
こうした動きを知ることで、住宅需要の強さや家賃相場の将来像をある程度予測できる可能性があります。
人口動態と家賃相場の関係
家賃相場は需要と供給のバランスで決まる面が強いと考えられます。借り手が多い地域では空室が減り、家賃が上昇しやすくなります。反対に、借り手が減ると空室が増え、家賃は下がりやすくなります。
人口が増えている地域では住宅需要が高まり、家賃相場が底堅く推移することが期待されます。逆に人口減少が続く地域では、住宅の供給が需要を上回り、家賃が下落しやすい傾向にあります。
また、単身世帯の増加、高齢者世帯の増加といった世帯構成の変化も、賃貸需要の種類や量に影響を与えると考えられます。
人口動態を確認するときに注目するポイント
人口動態を分析するときには、以下の点を見ておくとよいと思います。
1. 人口の増減傾向
過去5年、10年スパンでの推移を見ることで、短期的な増減ではなく長期的な流れがつかめます。
2. 世帯数の動向
特に単身世帯や高齢者世帯が増加しているかどうかを把握することが重要だと思います。
3. 年齢構成の変化
若い世代(20〜40代)が多い地域は、今後も賃貸需要が期待できるかもしれません。
4. 人口流入・流出のバランス
転入超過(流入>流出)が続いているかどうかを確認します。
人口動態データの調べ方
人口動態を調べる際には、公的な統計データを利用するのが確実だと思います。
【国勢調査(総務省統計局)】
5年に一度行われる日本最大の人口統計。市区町村単位で人口や世帯数、年齢構成などを確認できます。
[国勢調査(e-Stat)](https://www.e-stat.go.jp/statistics/00200521)
【住民基本台帳人口移動報告】
毎年発表される人口移動データ。転入・転出の動きが市区町村別にわかります。
【自治体ごとの人口ビジョン・将来推計】
市区町村が将来人口を予測した資料を公表しているケースも多いです。
例:「○○市人口ビジョン2030」など。
これらを組み合わせて、その地域の「現状」と「将来像」をイメージするのがよいかと思います。
家賃相場に影響を与える人口動態の事例
【例1】東京都心部(千代田区・港区など)
若い単身世帯の流入が多い地域。家賃相場は堅調に推移している印象です。
【例2】地方都市(福岡市・仙台市など)
人口流入が続いているため、賃貸需要が増加傾向にあります。
【例3】人口減少地域(地方郊外・中山間地域)
高齢化と若者流出が進み、空室率が高まる傾向が見られます。家賃の下落リスクも無視できない点です。
おわりに
人口動態は、不動産投資や賃貸経営における「将来予測」を立てるうえで欠かせない指標の一つです。家賃相場を単年単位の動きに加えて、地域の人口トレンドも踏まえながら判断する視点を持つのがよいかと思います。